租税法の迷宮

とある税理士による租税法・税実務の勉強ノートです。

判例

「不相当に高額」は私的自治への不当な介入か

松井さんはベトナム事業の成功を確信し、弟を専念させるため月2億5000万円の役員報酬を提示した。実際、2015年12月から4カ月で10億円を払った。松井さん自身も2015年10月からの1年間、月5000万円、年間6億円の役員報酬を得た。 国税当局は2018年、京醍醐味噌…

贈与税の取得費・必要経費該当性

「大阪勉強会からの税法実務情報」ブログを見て、贈与により土地を取得した際に支払った贈与税が取得費にあたるか争われている事案があると知りました。 上記によると審判所の判断は「通常必要と認められる費用ということはできず…」というもののようですが…

土地建物の一括譲渡と消費税

今日の税務通信(3717号)の〔裁判例・裁決例〕より興味深い裁判例(東京地裁令和元年(行ウ)第480号、令和4年6月7日判決)。 土地建物の一括譲渡(合計約10億)で契約書において土地・建物それぞれの対価が記載されていない場合について。 納税者:鑑定評…

〔裁判例〕個人事業主が自身が代表を勤める会社に支払った外注費の必要経費性

個人事業主は自分が代表を務める会社に外注費を支払えるか? 税務通信か何かで見かけて気になっていた裁判ですが、地裁・高裁の判決文を読んでみました。大阪地裁平成30年4月19日(控訴審:大阪高裁平成30年11月2日)判決です。 事案としては燃料小売業を営…

税理士と憲法

憲法記念日にちなんで憲法の話題でも。 我々税理士と憲法との関わりといえば、なんといっても租税法律主義です。 憲法84条は「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする」と規定します。さすがに…

税務における法的思考と会計的思考

税務実務は法的思考を尊重すべき 税務の現場にいてよく思うのが、税理士の実務では簿記の仕訳で考える会計的な思考が強く、良くも悪くも法的な思考は前面に出てこないということです。 これはそもそも税理士に法学部出身者が少なく、多くは経営学部・商学部…