租税法の迷宮

とある税理士による租税法・税実務の勉強ノートです。

確定申告

相続人が不存在の場合の準確定申告

確定申告をしていた納税者が年の中途で亡くなった場合、相続人が共同して4ヶ月以内に準確定申告をするのが通常の実務です。 では、相続人(になり得る親族)が全員相続放棄をしてしまったら準確定申告はどうなるのでしょうか。 結論として、このような場合、…

6月までに死亡した納税者に予定納税義務はない

納税者が上半期に死亡した場合の予定納税 税務署は6月15日までに、予定納税の通知を送ってきます(所得税法106条)。 しかし例えば5月にその納税者が亡くなっている場合はどうなるのでしょうか。結論としてはこの場合、予定納税の納付義務はない、すなわち納…

「副業で赤字を出して損益通算で節税」とか普通に否認されています

1.巷で言われる”節税術” どこが出所なのかはわかりませんが「サラリーマンが副業で赤字を出して事業所得として申告すればその赤字を給与所得から引くことができる」という”節税術”が時々話題になります。 残念ですが税理士から見るとこの”節税術”はダメで…

「副業収入20万円以下なら確定申告不要」の注意点

「センセー、今年〇〇の収入があるんですけど、確定申告必要ですかね?」といった会話をする季節になってきました。 ここで、給与所得者が給与所得以外の所得が20万円以下なら確定申告不要(所得税法121条)の規定を適用することは実務上結構多いかと思いま…

所得概念論を税理士実務に活かす

1.とある確定申告書 今回は所得概念と実務について思いつき程度に少し考えてみたいと思います。 考えるキッカケは今年の確定申告業務において新しくご依頼いただいたお客様の過去の申告書を見たことです。 そのお客様は個人事業主なのですが物を仕入れて売…

経費家事按分の原則論を確認する

1.実務上の取り扱い 確定申告の時期になったので個人所得税らしいネタで。 例えば個人事業主の車で、仕事とプライベート両方に使っているものがあるとします。 このとき、例えば「だいたい仕事とプライベート半々で使っているから減価償却費のうち50%を必…

「お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください! 」

少し前に、税理士の大河内先生という方が書かれた『お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください! 』を読みました。 もちろん私は税理士ですのでこの本で税金のことを勉強しようという気持ちはないので…

有用すぎて毎年必ず買う確定申告本

実務に有用すぎて毎年必ず買っている確定申告の実務書を今年も買いました。 天池&パートナーズ税理士事務所編集の『図解・表解 確定申告書の記載チェックポイント(平成31年3月15日締切分)』です。 この本のいいところは一言で言えば「確定申告実務の要点が薄…

配偶者が青色申告をしている場合の配偶者控除の判定と年末調整書類の記載

1.青色の65万円を引く前か後か 改正があって色々とややこしいことになっている配偶者控除ですが、納税者自身の合計所得金額が900万円以下で、配偶者の合計所得金額が38万円以下であればこれまで通り38万円の配偶者控除が適用されます。この部分をつかまえ…