租税法の迷宮

とある税理士による租税法・税実務の勉強ノートです。

有用すぎて毎年必ず買う確定申告本

実務に有用すぎて毎年必ず買っている確定申告の実務書を今年も買いました。

天池&パートナーズ税理士事務所編集の『図解・表解 確定申告書の記載チェックポイント(平成31年3月15日締切分)』です。

 

 

この本のいいところは一言で言えば「確定申告実務の要点が薄くて見やすい本の中にめちゃくちゃ凝縮されている」ところです。

 

より具体的には以下。

(1)税制の説明が図と表をふんだんに用いていてわかりやすい。情報がとてもうまく整理されていて「要するにそこが知りたい」がすぐわかる。

(2)項目ごとのチェックポイントが現実の実務で見落としやすい実践的な内容。

(3)申告書の類型ごとに記載の手順と記載例が載っていて最終的にどのように書けばいいのかまで細かくわかる。

 

個人的に特に(2)のチェックポイントが血の通った実務寄りのものであることはとても大きいです。

世の中にあるチェックシートの類には「申告書X欄の金額とY欄の金額が一致しているか」のように、書類内部の極めて形式的な整合性をチェックするばかりのものもあります。

しかし、現実的には申告書内部の数字の転記はソフトが自動でやってくれるのであり、機械的に合わせられるような部分については文字通り機械が合わせてくれて、その点を確認するチェックシートはあまり実益がありません。

 

その点本書が注意喚起してくれるチェックポイントはソフトが判断する部分以外で見落としやすい実務的なポイントです。

例えば事業所得の必要経費のチェックポイントとしていきなり出て来る「業務用資産を相続により取得した場合の登録免許税を必要経費として計上していない」(正しくは必要経費にできる)なんて、いかにもバタバタと作業している中で見落として言われて「あ~そっか」となるようなポイント。

そんな「あ~そっか、目を通しておいてよかった」と思うようなチェックポイントが凝縮されていて、よくぞこのような本を出してくれましたと思います。

 

分厚くなくて実務でガシガシ使える感じがいいですが、情報量の濃さは一級品。

法人税申告とか株価評価とか分野ごとに「実務で本当に使える血の通った一冊」はありますが、確定申告に関しては完全に本書ですね。

これで税込1,620円は安すぎるし、今見たらAmazonの税法カテゴリーで1位になっていたのも納得です。