租税法の迷宮

とある税理士による租税法・税実務の勉強ノートです。

医療法人に贈与税が課される場合の具体的な申告・納付

東京税理士会の医療法人に関する研修より、要点のメモ。

持分ありの医療法人において、出資者が持分を放棄して持分なしの医療法人に移行する場合、非同族などの要件を満たさない限り持分放棄を受けた医療法人を個人とみなして贈与税が課されます。

この場合の医療法人が受ける経済的利益は財産評価基本通達194-2(医療法人の出資の評価)によって評価し、贈与者(出資者)ごとに基礎控除と累進税率を適用して計算。これは申告書第一表の付表二の様式に沿って行い、合計した金額を第一表に記載するのこと。納付書にも合計額で記載します。

個人の贈与税の申告ではその年に受けた贈与を足して計算しますが、その点が異なりますね。この点は問題となる規定の相続税法66条の頭に明示されています。

人格のない社団又は財団等に対する課税)
第六十六条 代表者又は管理者の定めのある人格のない社団又は財団に対し財産の贈与又は遺贈があつた場合においては、当該社団又は財団を個人とみなして、これに贈与税又は相続税を課する。この場合においては、贈与により取得した財産について、当該贈与をした者の異なるごとに、当該贈与をした者の各一人のみから財産を取得したものとみなして算出した場合の贈与税額の合計額をもつて当該社団又は財団の納付すべき贈与税額とする。
2 (省略)
3 (省略)
4 前三項の規定は、持分の定めのない法人に対し財産の贈与又は遺贈があつた場合において、当該贈与又は遺贈により当該贈与又は遺贈をした者の親族その他これらの者と第六十四条第一項に規定する特別の関係がある者の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められるときについて準用する。この場合において、第一項中「代表者又は管理者の定めのある人格のない社団又は財団」とあるのは「持分の定めのない法人」と、「当該社団又は財団」とあるのは「当該法人」と、第二項及び第三項中「社団又は財団」とあるのは「持分の定めのない法人」と読み替えるものとする。

1項で人格のない社団・財団を前提に贈与課税が定められており、4項でその規定が持分の定めのない法人に準用されています。持分なしの医療法人はここに含まれます(不当減少要件については個別通達とあわせて読むことになるが、実務的には非同族要件が一番のネック)。

申告・納付の時期については医療法人の決算期とは関係なく、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に行います。持分なしへの移行日は定款変更の認可日となります。

なお、医療法人が納付する贈与税法人税の計算においては損金不算入です(法人税法38条②一)。仕訳的にはこれまでの出資や剰余金を借方に振り替え、貸方に設立等積立金と、贈与税があれば未払金として計上することとなります。

認定医療法人の規定を使って贈与課税の免除を受ける場合でも、期限内に非課税の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告が必要で、申告自体をスルーしてしまわないようよくよく注意が必要とのことです。これを忘れると税理士的にはシャレにならないということで。