租税法の迷宮

とある税理士による租税法・税実務の勉強ノートです。

2018-05-01から1ヶ月間の記事一覧

事前確定届出給与による節税策について

役員給与は期首に決めておかなければ損金にならないのが原則です。 賞与のような雰囲気で支給される事前確定届出給与も、文字通り事前に確定させておいたものが損金になるに過ぎません。しかもこれに関する判定はけっこうシビアで、例えば100万円と届出てお…

簡易課税の場合における棚卸調整非適用の条文操作

消費税において免税事業者から課税事業者に切り替わったとき、免税事業者である期間中に仕入れた期首棚卸資産があると、これに係る消費税額は仕入れに係る消費税額に足し込むことになります。 消費税法の試験では重要度が高くない論点だったように記憶してい…

事前確定届出給与にする理由

周知の通り、現行の法人税法では役員給与に対する種々の損金算入規制がなされており、通常の役員給与でその規制を受けないのはおおまかには①定期同額給与②事前確定届出給与③業績連動給与の3類型に限られます。 今回取り上げたいのはこのうち事前確定届出給与…

税理士にとっての租税回避概念の使い道

前回の記事に続いて租税回避の話題で。 講学上の租税回避の議論は、前回もうにゃうにゃ論じたように、かなり抽象的で現実の税務とは距離があるようにも思えます。 しかし、私見としては、中小企業の税務を行う税理士にとっても租税回避をめぐる議論を学び、…

租税回避の実在性と妻のジョーク

最近「租税回避」が気になっています。 租税回避というのは考えてみると非常に不思議な概念です。例えば雑談レベルの会話では「こないだのA社の税務訴訟、やっぱり租税回避だと認定されて追徴税額払ったらしいね」とか「このB社の取引、実際のところ租税回避…

税理士と憲法

憲法記念日にちなんで憲法の話題でも。 我々税理士と憲法との関わりといえば、なんといっても租税法律主義です。 憲法84条は「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする」と規定します。さすがに…

実はもう一般的否認規定の世界に住んでいる?

租税回避に対する一般的否認規定の導入は近年ホットなトピックとなっています。*1 世界の先進国では既に一般的否認規定の導入が進んでいるということで、日本でもゆくゆくは導入されることになるのではないかと見られているようです。日本では現状同族会社や…