租税法の迷宮

とある税理士による租税法・税実務の勉強ノートです。

申告をしたから取引の内容が決まるわけではない

税金の申告って、重要ですが、取引社会にとっては二次的なものといいますか…。

 

債務免除やら株式の移動やら、過去に行ったものとされている取引について、後から当事者の意思をよくよく確認してみると「実は債務免除したつもりはなかった」「実は株の贈与の意思はなかった」といった場合があります。

 

こうしたときに「ここまではもう法人税の申告で載せてしまっているから動かせない」というように言う人がいます。

 

たしかに後から直すのは手間ですし、手間以上に問題になる可能性があるのはわかりますが、建付けとしては私法上の取引がまずあってそれを会計的に表現したのが仕訳であり、法人税法にあてはめたのが法人税の申告書であるはずです。

 

後から確認してみたら当初申告したところと取引の中身が違ったというのであれば単に申告書が誤っているという話であって、法人税の申告書を提出したからそこに記載された取引の内容が(なにか公的な意味で)確定するわけではありません。

 

逆に言えば、申告書が提出されていてもそこに表現されているものが実態と違う可能性があるからこそ税務調査やら更正処分やらの手続きが正面から法定されていると言えるはずです。

 

ちょっと思ったことでした。