租税法の迷宮

とある税理士による租税法・税実務の勉強ノートです。

会計学

この経理法に名前はあるのでしょうか

前払費用と未払費用の両建て 実務でたまに見かける経理処理方法の話です。 (1)前提 継続的な費用ならなんでもいいのですが、例えば「継続的に使用している業務システムの利用料を3ヶ月ごとに前払いする」という取引があるとします。4~6月分、7~9月分、1…

〔書籍〕『「戦略会計」入門』

高田直芳『「戦略会計」入門』(日本実業出版社2007) 少し前の本ですが、見かける度に少し気になっていたのでふと気が向いて買ってみました。 会計学と経済学との融合をテーマに掲げており、その部分に興味があったため楽しみに読みました。 本書の魅力とし…

合同会社の税務周りの話(5)

合同会社の税務周りの話(1) 合同会社の税務周りの話(2) 合同会社の税務周りの話(3) 合同会社の税務周りの話(4) 合同会社の税務周りの話(5)←イマココ その4で終わるつもりでしたが追加編。 ☆合同会社のポイント⑪ 損益分配の計算と利益配当可…

合同会社の税務周りの話(4)

合同会社の税務周りの話(1) 合同会社の税務周りの話(2) 合同会社の税務周りの話(3) 合同会社の税務周りの話(4)←イマココ 合同会社の税務周りの話(5) 前回からの続きです。税理士事務所目線で合同会社の面白いところを書いています。 ☆合同会…

合同会社の税務周りの話(3)

合同会社の税務周りの話(1) 合同会社の税務周りの話(2) 合同会社の税務周りの話(3)←イマココ 合同会社の税務周りの話(4) 合同会社の税務周りの話(5) 前回からの続きです。税理士事務所目線で合同会社の面白いところを書いています。 ☆合同会…

合同会社の税務周りの話(2)

合同会社の税務周りの話(1) 合同会社の税務周りの話(2)←イマココ 合同会社の税務周りの話(3) 合同会社の税務周りの話(4) 合同会社の税務周りの話(5) 前回からの続きです。税理士事務所目線で合同会社の面白いところを書いています。 ☆合同会…

合同会社の税務周りの話(1)

合同会社の税務周りの話(1)←イマココ 合同会社の税務周りの話(2) 合同会社の税務周りの話(3) 合同会社の税務周りの話(4) 合同会社の税務周りの話(5) 最近関与先で合同会社がちらほら増えてきました。主に、個人事業主の法人成りというか、ス…

〔書籍〕『プログレッシブ税務会計論Ⅲ』

酒井克彦『プログレッシブ税務会計論Ⅲ』(中央経済社2019)。こちらもやっと通しで読みました。 本書では法人税法22条4項の「公正処理基準」に焦点を当て、種々の議論が展開されています。 第一章はまさに「法人税法22条4項における公正処理基準」と題して同…

〔書籍〕『プログレッシブ税務会計論Ⅱ』

1.法人所得計算の勘所 前回の『プログレッシブ税務会計論Ⅰ』に続いて、『プログレッシブ税務会計論Ⅱ』。 taxlawlabyrinth.hatenablog.com (前著もそうでしたがこちらも第1版を買って読み切れないうちに第2版が出ておりました…。22条の改正がありましたか…

〔書籍〕『プログレッシブ税務会計論Ⅰ』

1.税務会計論とは 尊敬する酒井克彦先生の税務会計本。ずっと積読というかつまみ読みの状態だったので、リンク先は第2版ですが読んだのは旧版です……。*1すみません……。とりあえず自分のノートとして。 巷に「税務会計論」と銘打った書籍は多数ありますが、…

キャッシュ・フロー計算書を理解してなくても100%作れる「ちぎりCF計算書」(3)

(1)・(2)からの続き taxlawlabyrinth.hatenablog.com taxlawlabyrinth.hatenablog.com 後輩「先輩直伝の〔ちぎりCF計算書〕で、とりあえず簡易的なCF計算書が作れることはわかりました。しかしどうしてこういうやり方でCF計算書ができるのかはいまひと…

キャッシュ・フロー計算書を理解してなくても100%作れる「ちぎりCF計算書」(2)

(1)からの続き taxlawlabyrinth.hatenablog.com 後輩「利益と現預金増減の差がキャッシュ・フロー計算書(以下、CF計算書)の内容になるのだというのはわかりました。漠然と計算書を見るより一番上と一番下をまず見ればいいんですよね」 先輩「そういうこ…

キャッシュ・フロー計算書を理解してなくても100%作れる「ちぎりCF計算書」(1)

「損益計算書と貸借対照表は見慣れているけどキャッシュ・フロー計算書がよくわからない。特に間接法がわからない」とよく言われます。 これに関して「簡単にわかる説明」のようなものはネット上にもたくさんありますので、私がさらに似たような試みを行う意…

実現主義と売掛金の理屈についてよくわからないこと

1.実現主義の2要件 税理士試験の財務諸表論を勉強しているときから、実現主義の説明について何か腑に落ちないものを感じていました。自分が何か基本を勘違いしている気がしてならないのですが頭の整理のために少し書いてみます。 (新しい収益認識に関する…

減価償却の自己金融効果というまやかし

今、ある法人税法の本を楽しく読んでいるところなのですが、損金の章に「減価償却の自己金融効果」の話が出て来てげんなりしてしまいました。 私はこの減価償却の自己金融効果というやつが、どうしても意味がわかりません。資金の流出を伴わない費用だから減…

税務における法的思考と会計的思考

税務実務は法的思考を尊重すべき 税務の現場にいてよく思うのが、税理士の実務では簿記の仕訳で考える会計的な思考が強く、良くも悪くも法的な思考は前面に出てこないということです。 これはそもそも税理士に法学部出身者が少なく、多くは経営学部・商学部…