2021-01-01から1年間の記事一覧
ビジ法試験 先日、東京商工会議所が主催するビジネス実務法務検定試験の3級を受験(合格)しました。 その名の通りビジネスの実務で扱うような法務の知識を問う検定試験です。 税理士である私が受けた動機としては「自分を含めて税理士、民法・商法音痴多く…
前回の記事で、インボイス制度開始後は免税事業者(未登録事業者)が「適格請求書と誤認されるおそれのある書面」を出すと刑罰があることについて書きました。 taxlawlabyrinth.hatenablog.com じゃあそれってなんなのよという話が今日税務通信*1に出ていま…
問題意識のメモとしてタイトル通りの疑問を書いているだけの記事です。 答えはありません。 令和5年10月開始のインボイス制度の下では、相手方が仕入税額控除可能な適格請求書を発行できるのは登録している課税事業者だけです。 逆に登録を受けていない事業…
インボイス制度というとその語感もあり、支払いの都度税額を請求書・領収書で裏付けられないといけないというイメージも強いです。 しかし例えば「事務所の家賃を口座振替で毎月自動的に支払っていて、その都度請求書や領収書が出るわけではない」といった種…
1.仕入の前倒し もうすぐ決算期末の会社が思ったより大きく利益が出ているとします。そうすると「期末になんか経費使おうかな」と考えだすのは人情です(合理性は別として)。 その際、当期は消費税の簡易課税、翌期は原則課税のときに注意すべき点を素朴…
前払費用と未払費用の両建て 実務でたまに見かける経理処理方法の話です。 (1)前提 継続的な費用ならなんでもいいのですが、例えば「継続的に使用している業務システムの利用料を3ヶ月ごとに前払いする」という取引があるとします。4~6月分、7~9月分、1…
酒井克彦『裁判例からみる所得税法〔二訂版〕』(大蔵財務協会2021) 旧版の所有者ですが改訂版が出たということで早速ゲットしました。 本書はタイトルの通り裁判例を素材に所得税法を体系的に整理しています。 所得税法について知っておいたほうがいい裁判…
1.譲渡制限の限界 マイブームにつき三連続の会社法ネタです。税理士の勉強メモなので悪しからず。 株式会社は所有と経営が分離することを前提とした会社制度ではありますが、日本の多くの中小企業ではオーナーの一族が所有も経営も支配しているのが実態で…
1.出席や押印の義務は会社法には定めがない 会社法ネタ。税理士の経験的メモです。 決算確定や役員報酬の改定、事業年度変更などで(定時/臨時)株主総会を開き会社が議事録を作成することはもちろんよくあります。このとき、よくあるひな形などでは取締…
税理士会の研修*1を見ていて、あーあるあるだなぁと思った話。 定款にはその会社の事業の目的の記載が必要で、会社はその目的の範囲内でしか権利義務を負いません。これは民法の最初の方に書いてある基本原則です。 民法第34条 法人は、法令の規定に従い、定…
1.名義変更プラン 数ヶ月前実務界で大騒ぎだったものを今更記事にするマンです。 生命保険の名義変更プランに関する記事は読者の少ない本ブログのわりにはよく読まれている記事なので、たとえ今更であっても情報のフォローアップはしておくべきなのではな…
例えば3月決算法人が事業年度変更で8月決算法人に変わった場合、その期に中間納税の納付書がやってきたときにどのように対応したらいいのかと戸惑うことがあります。 X1期 X1年4月1日~X2年3月31日(年税額48万円超400万円以下) X2期 X2年4月1日~X2年8月31…
1.FP2級を受けた感想 先日FP2級(より正確には2級FP技能士?)の試験を受けてきました。多分受かっていると思うので、感想と勉強方法をメモ程度に書いてみます。 FPを受けようと思ったキッカケは3級を受けたときに書きましたが、税金以外のマネーについて…
お客様から交換の特例(所得税法58条)について相談がありました。 しかし、会話をしていると、どうも噛み合わない様子。 「交換の特例を受けるためには、譲渡の時期を合わせた方がいですかね?」 「合わせる??とは???」 よくよく話してみると、お客様…
高田直芳『「戦略会計」入門』(日本実業出版社2007) 少し前の本ですが、見かける度に少し気になっていたのでふと気が向いて買ってみました。 会計学と経済学との融合をテーマに掲げており、その部分に興味があったため楽しみに読みました。 本書の魅力とし…
あなたは加藤論文の存在を知っていますか 最近、佐藤信祐先生が書かれた下記の本を読んでいます。 これまで佐藤先生の本というと組織再編に関する技術的な内容のものを読むことが多く、そういうイメージを持ちがちだったのですが、本書は博士論文をバックボ…
1.巷で言われる”節税術” どこが出所なのかはわかりませんが「サラリーマンが副業で赤字を出して事業所得として申告すればその赤字を給与所得から引くことができる」という”節税術”が時々話題になります。 残念ですが税理士から見るとこの”節税術”はダメで…
田中義幸『一般社団法人・一般財団法人の税務・会計Q&A~本当に知りたかったポイントがわかる 税理士からの相談事例100~ 』(第一法規2019) 税理士の実務に馴染む一冊 久しぶりに一般社団法人を担当するので知識の整理のために買いました。 惹かれた…
タイトル通り、去る5月23日にFP3級を受けてきました。 1.受検の動機 税理士というとどうしても「税務を正確にこなす」ことに意識がいきがちですが、当然ながらお客様(顧問先)の目的は税務そのものではなくて、事業を通じて自己実現をしたり経済的に豊か…
インボイス制度の導入に向けて少しずつ勉強。以下は(会のマルチメディア研修で熊王先生の講義を聞いたのを中心に)勉強メモの落書き程度に。 (1)令和3年10月からインボイス発行事業者の登録申請受付開始。令和5年10月から制度開始。 このタイムスケジュ…
タイトル通りの記事です。確定申告本格稼働を前に自分への注意喚起の意味でも文章にして確認しています。 金融所得を特定口座(源泉徴収有)で受けている場合、自動的に20.315%で源泉徴収がなされ確定申告の必要はありません。この申告不要制度を採用してい…
個人事業主は自分が代表を務める会社に外注費を支払えるか? 税務通信か何かで見かけて気になっていた裁判ですが、地裁・高裁の判決文を読んでみました。大阪地裁平成30年4月19日(控訴審:大阪高裁平成30年11月2日)判決です。 事案としては燃料小売業を営…
確定申告時期というのもあり、少々業界的な呼びかけで。。。 税務相談や申告書の作成業務は税理士の独占業務であり、税理士でない人はたとえ無償であっても業としてこれを行なってはいけません。資格がないのに税理士業を行う人を「ニセ税理士」などと呼びま…
昼休みにスマホを見ていると日経新聞にこんなニュースが出ていました。 www.nikkei.com 「非課税に」と言葉で言うのは簡単ですが租税法律主義(中里実先生に言わせれば租税議会主義)ですから、議会で話し合いもしていないのに勝手に政府が金銭の支給を非課…
拠出非課税の意味 iDeCo(個人型確定拠出年金)の税制メリットとしては「拠出時非課税(所得控除)」が特に強調されます。金融機関や証券会社のウェブサイトで「所得控除でどのくらい節税メリットがあるか」をシミュレーションできるものもたくさんあります…
給与額決定の一要素 中小同族企業が役員の報酬を決定する際には会社の財務状況や個人の所得税など種々の事情を勘案します。 税理士だと立場上どうしても税金のことを主軸に考えてしまう傾向があるのですが、社会保険分野においては負担のみではなく受益の問…
北村豊『争えば税務はもっとフェアになる』(中央経済社2020) 納税者勝利の裁決事例をドラマ仕立てで紹介 本書は国税不服審判所の裁決事例をテーマとしており、最近の裁決事例で納税者側が勝利したものを14本紹介しています。あまり専門用語は使っておらず…