租税法の迷宮

とある税理士による租税法・税実務の勉強ノートです。

特定口座の所得は申告しなければ「合計所得金額」に含まれない

 タイトル通りの記事です。確定申告本格稼働を前に自分への注意喚起の意味でも文章にして確認しています。

 金融所得を特定口座(源泉徴収有)で受けている場合、自動的に20.315%で源泉徴収がなされ確定申告の必要はありません。この申告不要制度を採用している場合、その分の所得は納税者の「合計所得金額」に含まれません。

 合計所得金額は各種控除の判定に影響してきます。もはや年末調整ではお馴染みになってきた論点かとは思いますが気にするべきは配偶者の所得だけでなく納税者「本人」の合計所得金額が1,000万円を超えても配偶者控除が使えなくなる、3,000万円を超えると住宅ローン控除が受けられなくなるといった点は常に意識しなければなりません。

 それを思うとNISAの強みはそこで得られた所得自体が非課税というのもさることながら配偶者控除の判定に影響しないという点も大きいように思われます。専業主婦がNISAで100万円儲けてもそれに課税されないだけでなく旦那さんで配偶者控除がとれます。

 ただし損失の繰越控除や複数の特定口座間での損益通算をするために特定口座の所得を申告すると合計所得金額に含まれます。金融所得だけに注目した税金メリットから確定申告によって税金や社会保険負担が上がらないかには注意が必要ですね。まぁこの辺も最近はよく誤りやすい事項として聞くためあえて繰り返すまでもないかもしれませんが、常にアンテナは張っておく必要があります。

 ちなみに同じ合計所得金額周りで自分が忘れやすいものを書いておくと、確定申告が不要なものであっても退職所得は合計所得金額に含まれます。

 最後に、証券税制周りの取り扱いは措置法マターであり条文で追うのは非現実的な部分が多く、証券会社のウェブサイトを見るのが一番わかりやすいです(ならこの記事は必要ないのではないか)。

 

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