租税法の迷宮

とある税理士による租税法・税実務の勉強ノートです。

税理士の裁量労働制

レガシィ裁量労働制を導入していたのですね。不勉強にして知りませんでした。そして訴訟になったと(別に最近の話題ではないのですが、ふと目に触れたので)。

 

近似の労働判例 第25回 東京高裁平成26年2月27日判決

https://www.toben.or.jp/message/libra/pdf/2015_01/p44-45.pdf

 

裁量労働制とは業務の遂行の方法などを労働者の裁量に委ね、労働時間は実際に働いた時間とは関係なく事前に決めた時間働いたものとみなして給与を支給する制度。

専門業務型の裁量労働制が認められているのは19種の限定列挙の業務であり、その中に「税理士の業務」も含まれています。

 

レガシィ事件で問題になったのは税理士登録していない職員の労働で、裁判所としては「税理士の業務」は税理士しかできないと法律で決まっているのだから対象は資格者だけでしょう(ここを広く解すると限定列挙した趣旨の潜脱になってしまう)というのがありつつ、関連のコンサル会社とも雇用関係があって混然一体と業務を行っていた点も良くなかったようです。

 

労務コンプラ意識の低いブラック業界として名高い税理士業界において裁量労働制ってどうなのでしょうか。

いかに資格者といえども所属税理士をやっている以上は雇い主より立場が弱いでしょうから、裁量労働制が採用されるとしたら雇い主に都合のいい(実労働時間で払うより給与が安くなる)場合しかありえないようなイメージを抱いてしまうところです。

とはいえ金額云々よりも自分の裁量で働きたい人、例えばいちいち職場にお伺いを立てずに時間の融通を聞かせたい子育て世帯などにはアリなのでしょうか。