租税法の迷宮

とある税理士による租税法・税実務の勉強ノートです。

オーナー社長が配偶者を従業員にしてみなし役員認定される条件

少し前の「東京税理士界」の相談事例より、整理が簡潔でわかりやすいのでメモ的に共有。

 

「法人成りにより青色事業専従者がみなし役員と認定された場合の課税関係」(PDF)

相談事例は法人成りを前提としていますが新規に創業する場合でも同じで、会社法上の役員でなくても経営に関わっている者が法人税の取り扱い上役員とみなされる場合があります。

 

これが問題になるのは、法人税に置いて役員の給与で損金と認められるのは定期同額給与など一定のものに限られるからです。配偶者に会社の手伝いをお願いして「当期されている役員じゃないから、そのときの雰囲気で給与や賞与を出そう」としているとみなし役員と認定されて損金を否認される危険があります。

 

同族会社の使用人がみなし役員にあてはまる要件としては

①持株の要件。ざっくり言うと持株割合が高い親族グループに属しているか。

②法人の経営に従事しているかの要件。

があり、同族会社では大抵①の要件は満たすものと思われ、あとは「法人の経営に従事」していればみなし役員になります(参照、タックスアンサー「役員の範囲」)。

 

どんな場合が「経営に従事」にあたるかは細かく法定されているわけではないため解釈ですが、経営方針、財務、人事など会社に重要な意思決定に自らの判断で介入しているような場合にはこれにあたると考えられているようです。他方、単に指示に従って業務をするような場合は経営に従事ではないと。

 

そして興味深いのはみなし役員の事前確定届出給与の扱い。

みなし役員は、会社法上の役員ではないために、職務執行の対価を株主総会等において決議することは求められない。したがって、みなし役員については、職務執行の対価を決議する機関が明らかではないことから、代表取締役の決定をもって株主総会等の決議に代えることができると解されている。

この辺はエビデンスを残す対応が求められるのでしょうね。