租税法の迷宮

とある税理士による租税法・税実務の勉強ノートです。

2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

特定口座の所得は申告しなければ「合計所得金額」に含まれない

タイトル通りの記事です。確定申告本格稼働を前に自分への注意喚起の意味でも文章にして確認しています。 金融所得を特定口座(源泉徴収有)で受けている場合、自動的に20.315%で源泉徴収がなされ確定申告の必要はありません。この申告不要制度を採用してい…

〔裁判例〕個人事業主が自身が代表を勤める会社に支払った外注費の必要経費性

個人事業主は自分が代表を務める会社に外注費を支払えるか? 税務通信か何かで見かけて気になっていた裁判ですが、地裁・高裁の判決文を読んでみました。大阪地裁平成30年4月19日(控訴審:大阪高裁平成30年11月2日)判決です。 事案としては燃料小売業を営…

税理士資格がない人に税務を依頼してはいけない実利的な理由

確定申告時期というのもあり、少々業界的な呼びかけで。。。 税務相談や申告書の作成業務は税理士の独占業務であり、税理士でない人はたとえ無償であっても業としてこれを行なってはいけません。資格がないのに税理士業を行う人を「ニセ税理士」などと呼びま…

通信費半額非課税の話

昼休みにスマホを見ていると日経新聞にこんなニュースが出ていました。 www.nikkei.com 「非課税に」と言葉で言うのは簡単ですが租税法律主義(中里実先生に言わせれば租税議会主義)ですから、議会で話し合いもしていないのに勝手に政府が金銭の支給を非課…

iDeCoの税制優遇は出口が重要

拠出非課税の意味 iDeCo(個人型確定拠出年金)の税制メリットとしては「拠出時非課税(所得控除)」が特に強調されます。金融機関や証券会社のウェブサイトで「所得控除でどのくらい節税メリットがあるか」をシミュレーションできるものもたくさんあります…

給与が変動したらもらえる年金はどのくらい変わるのか

給与額決定の一要素 中小同族企業が役員の報酬を決定する際には会社の財務状況や個人の所得税など種々の事情を勘案します。 税理士だと立場上どうしても税金のことを主軸に考えてしまう傾向があるのですが、社会保険分野においては負担のみではなく受益の問…

〔書籍〕『争えば税務はもっとフェアになる』

北村豊『争えば税務はもっとフェアになる』(中央経済社2020) 納税者勝利の裁決事例をドラマ仕立てで紹介 本書は国税不服審判所の裁決事例をテーマとしており、最近の裁決事例で納税者側が勝利したものを14本紹介しています。あまり専門用語は使っておらず…