租税法の迷宮

とある税理士による租税法・税実務の勉強ノートです。

2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『数理法務概論』を読む(6)ミクロ経済学

『数理法務概論』、第6章はミクロ経済学。 第6章 ミクロ経済学 1 概説 2 競争市場の理論 3 消費者が有する情報の不完全性 4 独占とこれに関連する市場行動 5 外部性 6 公共財 7 厚生経済学 8 読書案内 80頁のほどの分量を割いてミクロ経済学の概要…

『数理法務概論』を読む(5)ファイナンス

『数理法務概論』、第5章はファイナンス。 第5章 ファイナンス 1 概説 2 ファイナンス理論の基礎 3 貨幣の時間的価値 4 コーポレート・ファイナンスの重要概念 5 資産の価格決定 6 読書案内 良い悪いは別にして、どうしてこういう書き方になったのか…

租税法入門書のおすすめ

1.よくわかる税法入門 独習で租税法に入門するのにおすすめの本は何かと聞かれたのでせっかくだからブログにも書きます。色々読んできましたし「こういう場合にはこう、こういう人にはこう」と書きたいところですがそういう情報はかえってわかりづらいので…

『数理法務概論』を読む(4)会計

『数理法務概論』、第4章は会計。 第4章 会計 1 概説 2 三つの基本書類 3 複式簿記と財務諸表 4 会計の諸原則 5 会計の法制度 6 財務諸表分析 7 読書案内 本章では制度会計と財務諸表分析について概観しています。 会計についての知識そのものに新…

『数理法務概論』を読む(3)契約

『数理法務概論』、久しぶりになってしまいましたがしぶとく続けます。第3章は契約。 第3章 契約 1 概説 2 なぜ契約が締結されるのか 3 契約書作成の基本原則と留意点 4 製造物供給契約 5 代理契約 6 その他の契約類型 7 契約紛争の解決方法 8 契…

「社会保険料と年金制度」『財政と金融の法的構成』

中里実『財政と金融の法的構造』(有斐閣2018)より、本日は第7章第1節「社会保険料と年金制度」。 本節は本書の中で最も古く書かれた論文(1997年)であり、正直本書の他の部分との関りは薄いです。 妥当な年金制度が主に経済的な観点から議論され、その議…

「議会の財政権」『財政と金融の法的構成』

中里実『財政と金融の法的構造』(有斐閣2018)より、本日は第5章第2節「議会の財政権」。元論文はフィナンシャル・レビューでオープン(PDF)です。 前節の「租税法律主義は議会の財政権に基づく」という指摘を敷衍し、歴史的な視点と外国の学説を通じて「…

「議会の財政・金融権限と名誉革命」『財政と金融の法的構成』

中里実『財政と金融の法的構造』(有斐閣2018)より、本日は第5章第1節「議会の財政・金融権限と名誉革命」。 財政と合わせて金融の議会的統制を考えることの重要性を説いた節です。 特に財政軍事国家という中世ヨーロッパの観念をもとに金融制度がイングラ…

「主権国家の成立と課税権の変容」『財政と金融の法的構成』

中里実『財政と金融の法的構造』(有斐閣2018)より、本日は第2章第1節「主権国家の成立と課税権の変容」。 驚異の外国文献炸裂セクション。本節の初出は2014年の『租税法と市場』ですが、買ってきて「よーし頑張って読むぞー」と思った気持ちが序盤の本論文…

「憲法が前提とする憲法以前の法概念・法制度」『財政と金融の法的構成』

中里実『財政と金融の法的構造』(有斐閣2018)より、本日は第3章第2節「憲法が前提とする憲法以前の法概念・法制度」。 憲法学でいわゆる制度的保障として議論されるような事柄を租税法学の「借用概念」の議論を援用することで少し異なる見方で整理する面白…

「財政法の2つの側面」「財政の再定義」『財政と金融の法的構成』

中里実『財政と金融の法的構造』(有斐閣2018)より、本日は第1章「財政法の2つの側面」と「財政の再定義―財政法の実体法化と経済学」。後者の元論文はフィナンシャル・レビューでオープン(PDF)です。 この第1章では議会の財政権と国家の財産権を論じるの…

源泉徴収義務と家事使用人

2人以下なら源泉徴収不要? 先日、以下の質問を受けました。 当方個人事業主なのですが、親戚の手伝い2人に少額の給料を払っているだけなら源泉徴収をしなくていいのですよね? これは誤解です。 この問題はおそらく所得税法184条・200条の「家事使用人」と…

「金銭債権と租税」『財政と金融の法的構成』

中里実『財政と金融の法的構造』(有斐閣2018)より、本日は第7章第2節「金銭債権と租税」。 他の箇所でも度々述べられているように租税債権は本質的には(民法の)金銭債権であること、制定法の解釈には普通法がベースにあることが確認されます。 そうした…

「財政制度と法の関わり」『財政と金融の法的構成』

中里実『財政と金融の法的構造』(有斐閣2018)より、本日は第4章第1節「財政制度と法の関わり」。 本節では財政の法的な検討として手続き的・行政法的な検討だけでは不十分で、実体法的・私法的な把握が大事だということで「国家活動の概念図」(165頁)な…

「財政法と憲法・私法」『財政と金融の法的構成』

中里実『財政と金融の法的構造』(有斐閣2018)より、本日は第4章第2節「財政法と憲法・私法―財政の法的統制」。元論文はフィナンシャル・レビューでオープン(PDF)です。 本節は、財政に関する法的統制を考えるにあたって憲法や財政法の国家内部の手続きを…