租税法の迷宮

とある税理士による租税法・税実務の勉強ノートです。

「議会の財政・金融権限と名誉革命」『財政と金融の法的構成』

 中里実『財政と金融の法的構造』(有斐閣2018)より、本日は第5章第1節「議会の財政・金融権限と名誉革命」。

 

 

 財政と合わせて金融の議会的統制を考えることの重要性を説いた節です。

 特に財政軍事国家という中世ヨーロッパの観念をもとに金融制度がイングランドの軍事力拡大の元となったという議論は純粋に面白いです。

  イングランドで生まれた(真の意味の)租税法律主義は、金融に対する議会のコントロールと不可分一体のものであり、大陸法における法治国原理の延長線上のものとは多少異なり、あくまでも財政・金融を統合した議会支配の原理の表現であった。(208頁)

  この辺普通に「へぇー」と思って読んでしまいますね。

 歴史的には立法権よりも先んじて、しかも本質的なものとして、財政権が行政をコントロールしていたというのは租税法律主義と法律による行政の原理の関係についてこれまで全く聞いたことがなかった説明でした。