税理士がFP3級を受けてみた話
タイトル通り、去る5月23日にFP3級を受けてきました。
1.受検の動機
税理士というとどうしても「税務を正確にこなす」ことに意識がいきがちですが、当然ながらお客様(顧問先)の目的は税務そのものではなくて、事業を通じて自己実現をしたり経済的に豊かになったりして幸せを得ることです。
年金や保険や不動産、金融資産運用などについて自分がしっかりとした情報を持っていればお客様のご相談に乗れることもあるだろうし、総合的にマネーのことで頼れる存在になりたいという想いは以前からありました。
それで、色々なことについてその都度調べているもののまだまだ知らないことだらけだなぁという気持ちも強く、またどうしても実務ベースの勉強だと「実務で触れたことについては知っているがそうでないものについては(知らないことすら)知らない」という偏りが生まれやすいので、何かしら検定試験のような形で体系化されたもので自分の実力をテストしていくのがいいのではないかと思ったわけです。
2.試験を受けた感想
実際に3級を受けて思ったことは以下の2つです。
(1)勉強できる範囲はとても良い
前述したような年金・保険・不動産・金融資産運用はマネーリテラシーとしては是非とも押さえておきたい重要な事柄ですし、税理士業務にも役立つものばかりです。勉強ができる範囲・内容はとてもいいと思いました。お金の教養を得るのに有用な試験です。
ただし実務的に問題になるのは例えば「養老保険とは何か」という定義そのものではなくて「どの商品がいいか」ということだったりします。その点FP試験のテキストをどれだけ読んでも「どのくらいの保険料でどのくらいの保証」「こういう不動産はこのくらいの価格」といった相場観のようなものは全く身につかないので、その意味ではFP試験で高得点だからといって実際に具体的な提案ができるわけではありません。
もちろんこれ自体は検定試験の性格上仕方がないことですしそもそも業法的な問題もありますからそんなことはFP試験として目指すところでないのはわかりますが、実務的な知識と組み合わせてはじめて意味がある資格だという点は留意する必要があると思いました。
もっとも公的保険のあたりは民間の商品ラインナップに左右されることはありませんし、試験勉強をしてみて「へぇーそうだったのか」と思うことも多かったです。確定申告などの実務にも活きました。
(2)試験問題が簡単である
試験自体の感想としては「問題が簡単で受かりやすい」に尽きます。
ざっくり言うと6割の正解で受かる試験なのですが、その問題が2択か3択のマークシート方式で、問題文のひねりもありません。
悪い言い方をすると、それほど内容を深く理解できていなくても正解して合格できると思います*1。
日商簿記や税理士試験に慣れている身からすると「こんなに簡単でいいの!?」と思ってしまいますが、そのあたりも含めての3級、ということなのでしょう。
さらに、なんだかんだで問題のうち3分の1くらいは税金関係なのではないか?というくらい税金の問題は多く、逆に言うと税理士が受検するのはチートモードです。多くの人が苦戦するであろう部分が逆に全て得点源なのですから(まぁ、案外間違えて自分の中で恥ずかしい気持ちになるんですけどね……)。
なので、たまには「試験を受けて合格する」という達成感を味わいたい方は受けてみるのもいいのではないでしょうか。
3.勉強法
勉強法というほどでもありませんが、テキストとしては以下のシリーズを使いました。受験会場で全員がこのピンク色の本を開いていました(笑)。事実上独占市場のようです。
自分自身は正確に言うとこのシリーズの2級の本を以前に(教養としての)勉強用に買っていて、日々の中で適宜それを見ていました。まぁ、正直に言うと3級だし、そんなにテキストと向き合っての試験勉強らしい試験勉強というのはしていません。
どちらかというと試験対策として時間を費やしたのは下記の過去問道場です。
これはめっちゃくちゃ素晴らしいサイトで、スマホからアプリ感覚で過去問を解くことができます。過去の問題を現在の法令に合わせて改題してくれているようで、そういった点もとても親切ですし問題ごとの解説も丁寧で素晴らしいです。このサイトで8~9割取れたので、本試験も大丈夫だろうと思えました。
次は2級頑張りますかね。2級はさすがにちょっと舐めてかかったら痛い目を見そうです。
*1:私自身受かっていることを前提に書いていますが……厳密に言うと合格発表はまだ先なので落ちている可能性はあるんですけどね。