租税法の迷宮

とある税理士による租税法・税実務の勉強ノートです。

〔書籍〕『一般社団法人・一般財団法人の税務・会計Q&A』

田中義幸『一般社団法人・一般財団法人の税務・会計Q&A~本当に知りたかったポイントがわかる 税理士からの相談事例100~ 』(第一法規2019)

 

税理士の実務に馴染む一冊

 久しぶりに一般社団法人を担当するので知識の整理のために買いました。

 惹かれたのは税理士からの相談事例を集めたというところが実践的そうだったのと、類書の中で出版が新しかった(2019年)点。

 内容としては書名に記載の通り税理士からの相談を100個集めたという形で、一般社団・財団の基本から法人税・消費税・相続税……といったテーマ別にQ&Aがまとめられています。

 中身は堅苦しくなく「こういう風に考えれば理解しやすい」といったポイントから押さえて書いてくれているのですらすら読めて役に立ちます。感覚としては、社団の処理に慣れている同業者に「これってなんなの?」「こういうときってどうすればいいの?」という質問をして答えてもらっているような感じです。

 単なる法令や通達の列挙ではなく、実際の悩みを解決するために多少踏み込んだ意見のようなものも示してくれてあり、そうした点でも期待通り実践的だと思いました。

 特に非営利型の社団の税務で悩みやすい収益事業該当性(34業種のやつ)については記述が豊富で助かります。

 強いて物足りなかった点を挙げると、記述の根拠となる法令や文献の指摘が薄いため裏を取りづらいところがあります。また、事務的なことですが現実として悩みやすい決算書類の様式例のようなものも記載があると嬉しかったかなと。

 その辺自分なりに整理しながらまとめる記事をまた書ければなと思っています。