東京税理士界「TAINS解体新書」より(バックナンバーの掲載ページへのリンクを貼りますが、まだ該当の号はアップされていない様子)。
同族会社への無利息(低利息)貸付について、所得税法157条の行為計算否認規定が適用された事例です。
記事では「平成16年7月の最高裁判決(いわゆる平和事件)は、同族会社に対して3455億円を超える巨額な無利息貸付について年168億円余の利息が認定された特異な事件とされ、それ以後、類似の事例が話題になることは無かったと思います。ところが、最近、平和事件ほど巨額ではありませんが、無利息(低利息)貸付の利息が認定された未公開裁決がありましたので紹介します」として令和6年6月10日、令和6年5月15日の2つの事例が紹介されています。前者は無利息で貸付金額は非開示、後者は低利率で貸付金額78億円とのこと。
たしか中央大学名誉教授の大淵先生が平和事件の批判をされていて、「いずれは金額が下がっていき、1億円までいくだろう」と仰っていた覚えがあります。そのような予言が現実となってきている感があります。
もちろん取り上げられている裁決は(改正前の)社債利息スキームの文脈を受けたものであり中小の同族会社にありがちな運転資金的な役員借入は意味が異なるものとは思いますが、やがていくところまでいけばそうした境界も溶けてしまうのではないかと、嫌な感じがします。