租税法の迷宮

とある税理士による租税法・税実務の勉強ノートです。

〔書籍〕『起業のファイナンス増補改訂版』

 

誰もが知っているスタートアップファイナンスに関する名著。学生時代に軽く目を通したことがありましたが、最近スタートアップに関わることが増えてきたため改めてじっくり読んでみました。

 

自分が実務に触れている状態で読んでみると、これは本当にいい本ですね。実務のぶっちゃけたところが書いてありますし、ブログとかいまでいうnoteくらいの文体でとても理解しやすいです。

 

随所で金額に関することやスタートアップの株価をDCF法で評価するときの割引率など具体的な数字の「相場観」を思い切って書いてくれていることも非常に素晴らしい。

 

こういう、単なる制度の説明ではなく現実の経験を元に血の通った指南を書いてくれる本というのはどの分野においても貴重です。

もちろんテクニカルに理解すべき事柄の要点については根拠法令も示した上できちんとまとめてくれていて、そういった面でも信頼が置けます(例えば税制適格ストック・オプションについてなど)。

 

Excelがあるのは素晴らしい」「Excelを叩いて素晴らしいビジネスプランだと思った場合の多くは計算式の誤り」など、実感がこもっていて思わずクスりとさせてくれる切り口も読んでいて楽しいです。

 

実際にスタートアップに関わる人が必読なのはもちろんのこと、スタートアップについて考えるのは株式会社の基本に立ち戻って考えることになるので、中堅企業の実務にあたっている経営者や税理士が読んでも学べるところが多い一冊だと思います。