租税法の迷宮

とある税理士による租税法・税実務の勉強ノートです。

外国法人とのウェブ会議を通じたコンサル報酬と消費税

『東京税理士界』Vol.156の会員相談室。

 

内国法人A社(コンサル業) → 外国法人B社

 

ウェブ会議でQ&A形式アドバイスの報酬を得た場合輸出免税になるのか、否か。

回答としては電気通信利用役務の提供になるから、役務の提供を受ける事業者の本店所在地で内外判定をし、国外取引となる。輸出免税は国内取引であることが前提だから輸出免税にはならないと。

 

先日の税務通信3710号で「Web会議システム等を利用したコンサルティングは、すべてが「電気通信利用役務の提供」に該当するわけではなく、提供される役務の内容によって異なり、他の役務提供の伝達手段に過ぎない場合は該当しない」という記事が出てなるほどなと思っていたところで、逆かなぁというイメージをもったのですが、上記の事例はその場でQ&Aをする役務提供であって伝達手段に過ぎないわけではないと解釈すれば両方正しいものとして成立するのでしょう。

 

コンサル業をしていて、その内容をウェブ会議で伝達したからといって電気通信利用役務の提供に該当するのは素朴に違和感がありますが、消基通5-8-3も「電話、電子メールによる継続的なコンサルティング」を具体例として挙げており、「ウェブ会議でコンサルしまっせ」というサービスの場合には電気通信利用役務の提供にあたると理解するしかないでしょうか。案外微妙な判定が求められるかも。

 

 

消費税法2条1項8号の3

八の三 電気通信利用役務の提供 資産の譲渡等のうち、電気通信回線を介して行われる著作物(著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第二条第一項第一号(定義)に規定する著作物をいう。)の提供(当該著作物の利用の許諾に係る取引を含む。)その他の電気通信回線を介して行われる役務の提供(電話、電信その他の通信設備を用いて他人の通信を媒介する役務の提供を除く。)であつて、他の資産の譲渡等の結果の通知その他の他の資産の譲渡等に付随して行われる役務の提供以外のものをいう。

 

消費税法基本通達5-8-3

(電気通信利用役務の提供)
5-8-3 電気通信利用役務の提供とは、電気通信回線を介して行われる著作物の提供その他の電気通信回線を介して行われる役務の提供であって、他の資産の譲渡等の結果の通知その他の他の資産の譲渡等に付随して行われる役務の提供以外のものをいうのであるから、例えば、次に掲げるようなものが該当する。(平27課消1-17により追加)

(1) インターネットを介した電子書籍の配信

(2) インターネットを介して音楽・映像を視聴させる役務の提供

(3) インターネットを介してソフトウエアを利用させる役務の提供

(4) インターネットのウエブサイト上に他の事業者等の商品販売の場所を提供する役務の提供

(5) インターネットのウエブサイト上に広告を掲載する役務の提供

(6) 電話、電子メールによる継続的なコンサルティング

(注) 電気通信利用役務の提供に該当しない他の資産の譲渡等の結果の通知その他の他の資産の譲渡等に付随して行われる役務の提供には、例えば、次に掲げるようなものが該当する。

1 国外に所在する資産の管理・運用等について依頼を受けた事業者が、その管理等の状況をインターネットや電子メール(以下5-8-3において「インターネット等」という。)を利用して依頼者に報告するもの

2 ソフトウエア開発の依頼を受けた事業者が、国外においてソフトウエアの開発を行い、完成したソフトウエアについてインターネット等を利用して依頼者に送信するもの