新川帆立『倒産続きの彼女』
前著の『元彼の遺言状』が読みやすかったのでこちらも読んでみました(Kindle版にて)。
ネタバレ要素ありの感想。
本作も全体的にライトで、ちょっとした謎解き感を楽しみながら退屈せずに最後まで読めました。テンポ良く進んで伏線回収して気持ちよく読み終われる感じです。
前作の主人公がサブキャラとして登場し、タイプの違う本作の主人公が前作の主人公を内面で批判するところがシリーズとしての面白さをプラスしてくれて好きでした。
弁護士モノとして「読者が賢くなったような気分になれる程度の法律要素を入れる」という接待プレーをもうちょっとしてくれると嬉しかったかなと思いますが、終盤は多少濃くて満たされたような感覚。
筆致がそれほど文学的ではないので、読みやすいのはいいのですが、その中でポンポン人が死傷するのは軽くて浮いた感じになってしまい好みが分かれるかもしれません。あとは黒幕の正体が陰謀論っぽい感じというか、そこも話としての好き嫌いは分かれるかも。
個人的には(人が死ぬ軽さを別にすれば)主人公のキャラクターやストーリーの感じは前作より好きだったかもしれません。シリーズとして続きが出れば読みたいです。