租税法の迷宮

とある税理士による租税法・税実務の勉強ノートです。

税務会計専門書読み放題『丸善リサーチ』のここがスゴイ

今更ですが。そしてタイトルはちょっと大袈裟気味に。

先月くらいに税務会計系の専門書(電子書籍)がサブスクで読み放題になる『丸善リサーチ』が話題になっていたので登録してみました。

個人向けのスタンダードプランは月額3,500円ですがまずは無料でお試しもできます。

 

別に宣伝するわけではなく、率直な感想を思いつくまま書きます。

 

1.専門書の本文を横断的に検索できるのが神

 これは文字通りの意味で、画期的だと思います。例えば「通勤手当」などの語句で検索すると、源泉所得税の本も出てくれば消費税の本も出て来ますし、本の中で該当する箇所をすぐに読むことができます。

 これまで即答できないような税務相談の調査には税務通信の電子版を使うことも多かったですが、税務通信は論点に対して深入りしているというよりは一般的な周知や速報的な記事が多いため、裏付けとしての頼もしさがかなり違います。

 

2.調査業務の時間節約効果が大きい

 複雑な税務相談をされてその根拠となる専門書を探す作業というのは結構時間がかかります。税務の専門的な本を置いている書店は限られていますし、業務時間中に書店まで行って棚から関係しそうな本を開いてみて索引から目当ての項目を探して(でもだいたいは載っていない)、、、などとしていると何時間もかかってしまいます。

 これが丸善リサーチであれば目の前のパソコン(スマホでも)を叩いて数分で済みますから時間の節約になりますし、当然早く反応できる分顧客にも喜ばれることになります。

 経営的に見ると支払う料金の価値は丸善リサーチ内の本の内容に対してというよりもこの部分に対してという意味の方が大きいのではないかとすら思います(内容がないと意味ないですが)。

 

3.UIが使いやすい

 上記の2点をサポートしてくれる点ですが、インターフェース(画面のデザインなど)がとても使いやすいです。検索はすぐにできますしカテゴリー(税目など)から書籍を探すときも表紙の画像が出ていて見やすいですし、システムに目次がちゃんと登録されていて、目次をクリックすると該当箇所に飛べるのもすごく便利です。

 パラパラっとめくれないストレスでなかなか思うように動かせないと結局億劫で使わなくなったりしますしね。

 そして本文のコピペもできます。引用する形でメールに載せるのもサクサクです。素晴らしい。

 印刷もできるので、プリンターがある環境であれば「書き込めないからなぁ…」という不便を味わうこともありません。

 

4.雑誌もあるのすごい

 税務弘報と税経通信あります。これだけでも元が取れるのでは?

 

5.自己研鑽に繋がりやすい

 これは副次的な効果ですが、日々の業務の中でちょっと気になった論点について勉強したいことが生じても「今直接問題になっているわけじゃないし、また今度勉強しよう」と思って忘れてしまっていたものが、すぐに調べられるので身に付きやすいかなと思います。

 また財産評価について調べているときにみなし贈与についての面白そうな本が目に入ったらどれを読んでもタダなので興味本位で読んでみるとか、そういう効果もあるように思います。

 

6.ラインナップはまだこれから?

 本のラインナップは実際どうよということについては、並んでいるのは良書ばかりだが網羅性は(まだ)十分でない、という印象です。

 佐藤信祐先生の組織再編の本などもありますし、「これ読んでみたかった」「これ面白そう」という本がたくさんあります。

 ただ、例えば消費税のカテゴリーでは本は5冊しかありませんし、インボイス制度にフォーカスしたものは出て来ません。「電子帳簿保存法」とタイトルに入った本は2021年出版の1冊だけです。マイナー論点について言っているわけではなくこの辺は最近ホットな話題ですからね。

 このあたりは、ラインナップがどんどん増えていかないとわりとすぐ飽きてしまいそうですし、今後に期待かなと思います。

 あとこの業界は改正で新しいのを買い直さないといけないということが多いですが、サブスクなのでその辺いい感じになってくれると嬉しいよねと思います。