租税法の迷宮

とある税理士による租税法・税実務の勉強ノートです。

退職所得の受給に関する申告書が出ていない場合の住民税の特別徴収

役員・使用人に退職金を支給したときは「退職所得の受給に関する申告書」を記入・提出してもらうのが税務的に一番重要な手続きです。

これが提出されていれば勤続年数に応じた退職所得控除を差し引いた2分の1に累進税率を適用し源泉徴収をします。退職所得控除額の方が大きくて源泉徴収税額がゼロになる場合も多いでしょう。

他方、提出がなければ支給する退職手当等の額にダイレクトに20.42%を乗じた金額を源泉徴収することになります。原則的な計算方法と比べると取られすぎですが、本人が確定申告をして精算することができます。

ここで、「退職所得の受給に関する申告書」が出ていない場合に住民税の天引き(特別徴収)はどうしたらいいのか?と聞かれたので調べてみました。

 

結論としては「退職所得の受給に関する申告書」が出ていようが出ていまいが住民税の特別徴収の計算方法は同じです。

柏市のウェブサイトでは(1)申告書を提出した場合と(2)申告書の提出がない場合と場合分けしつつ後者は「上記1と同様」とされています。

地方税法では328条にこのあたりの規定があります。

所得税と住民税はちょいちょい差異があるので厄介ですね。

 

他に注意すべき点として以下があります。

(1)退職所得の受給をしたのが役員であれば、その者が特定役員に該当しないか(勤続5年以内でないか)に注意する。

(2)住民税がもはや特別徴収できなくなるので、普通徴収に切り替えるか、退職時に一括徴収するか、次の勤務先での特別徴収に切り替えるかを判断し手続きする。