租税法の迷宮

とある税理士による租税法・税実務の勉強ノートです。

消費税の届出を出そうとしている期日が休日のとき

マルチメディア研修で聞いた誤りやすい事例として

 

課税事業者選択届出書や簡易課税選択届出書を次の期から適用しようとする場合において、その期間の末日が日曜日等にあたることから提出期限がそれらの日の翌日まで延長されると考えている。

 

という趣旨のものがあり、なるほどと思ったのでメモしておきます。

 

例えば、X5年4月1日~X6年3月31日の期から簡易課税を適用したいと思えば、その期が始まる前のX5年3月31日までに簡易課税選択届出書を出さないといけないのはみんな頭に入っています。

このとき、3月末が次のようなカレンダーになっていたらどうでしょうか。

 

29 30 31 4/1
金 土 日 月

 

ここで「あぁ、提出期限の3/31は日曜日だから、翌日の4/1までに出せばOKだな」と思ってしまうと誤りということですね。

これが例えば法人税の申告期限であれば、国税通則法10条2項の規定により4/1が申告期限となります。

国税通則法第10条2項
国税に関する法律に定める申告、申請、請求、届出その他書類の提出、通知、納付又は徴収に関する期限(時をもつて定める期限その他の政令で定める期限を除く。)が日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日その他一般の休日又は政令で定める日に当たるときは、これらの日の翌日をもつてその期限とみなす。

しかし課税事業者選択届出書や簡易課税選択届出書は「当該届出書を提出した日の属する課税期間の翌課税期間以後の課税期間について効力が発生する」だけのものであって、提出期限というものは存在しない、そのため上記通則法10条2項の適用はないということです。

冷静に考えればわかっているはずのことですが、そう言われてみればなるほど感があります。提出期限自体が存在しないので期限が延長されるわけもないですね。

最近インボイス云々もあって消費税の届出関係を「提出すべき期日」間近に出すこともありそうで、客先で会話しているときなどはうっかり間違えてしまいかねないのでここに書き留めることで注意を意識付けておこうと思いました。