租税法の迷宮

とある税理士による租税法・税実務の勉強ノートです。

国外居住親族の扶養控除等

国税庁がPDFでQ&Aを公表しましたね。

 

令和5年1月からの国外居住親族に係る扶養控除等Q&A(源泉所得税関係)

 

Q&Aによれば、国外居住親族について「扶養控除」の対象となるのは扶養親族のうち次の(1)から(3)にあたる者に限られ、適用を受けようとする場合は一定の書類が必要であるとされています。

 

(1) 年齢16歳以上30歳未満の者

(2) 年齢70歳以上の者

(3) 年齢30歳以上70歳未満の者のうち、次の①から③までのいずれかに該当する者

① 留学により国内に住所及び居所を有しなくなった者

② 障害者

③ その居住者からその年において生活費又は教育費に充てるための支払を 38 万円以上受けている者

見ていくとたしかに正しいのだけど、わかりやすいのかわかりにくいのかよくわからないベン図

「扶養控除は16歳以上なんだけど、30歳以上70歳未満の範囲は3つの分類の人に限られる」と言い換えてもいいでしょうか。

証明の書類はどういうものがあればいいかといったあたりをQ&Aでは掘り下げていますが、果たしてこれを世間の年末調整担当者が理解してこなしきれるかどうか。年末調整限界説はこの辺でも表れている気がしますがどうでしょう。

税理士としては、国外親族の扶養控除については「扶養している親族は控除できる」という実体的な見方ではなく「扶養している親族で、扶養していることを国税が納得する書類で証明できる人は控除できる」というように手続き的な要件まで織り込んだ形でイメージしておかないといけないかなと思います。扶養控除等申告書に書きたかったらあらかじめそこをご了承くださいと。

なんだかシビアすぎるような気もしますが、国税の調査権限が及ばない国外の事柄に関して、「親族の名前を書いたもん勝ち」みたいになってしまってもたしかにどうかなぁという気持ちもそれはそれでわかります。

送金関係書類での注意点は、以前からですが、控除を適用する扶養親族各人への送金の証明が必要だというあたりでしょうか(Q34)。代表者にまとめて送金、では代表者一人分の送金関係書類にしかなりません。

 

ちなみにこの話の根拠条文がわからなかったので、ご存じの方教えてください。