書籍
中里実『財政と金融の法的構造』(有斐閣2018)より、本日は第4章第2節「財政法と憲法・私法―財政の法的統制」。元論文はフィナンシャル・レビューでオープン(PDF)です。 本節は、財政に関する法的統制を考えるにあたって憲法や財政法の国家内部の手続きを…
中里実『財政と金融の法的構造』(有斐閣2018)より、本日は第2章第2節「財政法の私法的構成」。 本節は憲法・行政法の文脈で議論されがちな財政が「国民に対する国家の対外的な関係においては基本的に民法や商法により規律される法領域であるという点につい…
中里実『財政と金融の法的構造』(有斐閣2018)より本日は第3章第1節「制定法と普通法」。 元論文はジュリストの「制定法の解釈と普通法の発見―複数の方が併存・競合する場合の法の選択としての「租税法と私法」論(上)(下)」ですね。 個人的には勝手に思…
中里実『財政と金融の法的構造』(有斐閣2018)より、本日は第6章1節「貨幣制度と法―法・言語・貨幣のソフト・ローの観点からの共通性」。元論文はネット上でオープン(PDF)ですね。 中里先生ご自身が最後に「とりとめもなく色々述べてきた」と書かれている…
中里実先生の『財政と金融の法的構造』(有斐閣2018)より「財政と国家活動に関する1つの試論」という節(論文)。 はっきり言って自分の手には余る難しい本(けど憧れるし読みたい本)ですので、ところどころつまみ食いしつつ読んでいます。思いついたとき…
酒井克彦『プログレッシブ税務会計論Ⅲ』(中央経済社2019)。こちらもやっと通しで読みました。 本書では法人税法22条4項の「公正処理基準」に焦点を当て、種々の議論が展開されています。 第一章はまさに「法人税法22条4項における公正処理基準」と題して同…
1.法人所得計算の勘所 前回の『プログレッシブ税務会計論Ⅰ』に続いて、『プログレッシブ税務会計論Ⅱ』。 taxlawlabyrinth.hatenablog.com (前著もそうでしたがこちらも第1版を買って読み切れないうちに第2版が出ておりました…。22条の改正がありましたか…
1.税務会計論とは 尊敬する酒井克彦先生の税務会計本。ずっと積読というかつまみ読みの状態だったので、リンク先は第2版ですが読んだのは旧版です……。*1すみません……。とりあえず自分のノートとして。 巷に「税務会計論」と銘打った書籍は多数ありますが、…
1.相続税申告業務の特殊性 確定申告時期に久しぶりの相続税申告を行ったので情報の整理として。 相続税の申告というのは、特化型としてやる税理士事務所はたくさんやる一方で、オーソドックスな法人顧問を中心とする税理士は稀にしかやらない傾向があるや…
浅妻章如『ホームラン・ボールを拾って売ったら二回課税されるのか』(中央経済社2020) 1.二重課税を鍵に課税を考える エッジの効いた知性と発言という印象のある、浅妻章如立教大学教授(ウェブサイト・Twitter)による初の単著だそうです。 タイトルは…
以前書いた会計事務所初心者向けの決算のおすすめ本の記事が意外と読まれているようです。 taxlawlabyrinth.hatenablog.com そこでもうひとつ、過去の自分に向けた「会計事務所に就職したらこれを読め」という指南本を書いておきます。どちらかというとこち…
『数理法務概論』、第二章はゲーム理論。 第2章 ゲームと情報 1 ゲーム理論とは何か 2 ゲームの記述 3 ゲームの解法 4 モラル・ハザードとインセンティブ 5 逆選択 6 交渉 7 読書案内 序盤は極めてオーソドックスな、表を用いたゲームの記述方法やナ…
数理法務概論 以前からじっくり取り組みたいと思いつつ積読となっていた書籍に『数理法務概論』(有斐閣2014)があります。 本書はハーバードの法科大学院で教えられている数理法務の講義用の教科書「Analytical Methods for Lawyers(法律家のための分析的…
法的な法人税法学習のベースキャンプ 税法をわかりやすく解説することに関して当代随一の感がある木山泰嗣先生による法人税法の入門書。私は以前から木山先生の書籍のファンであり本書も出版を楽しみにしておりました。前著の『弁護士が教える分かりやすい「…
岡村忠生・酒井貴子・田中晶国『租税法』(有斐閣2017) 租税法の要点を凝縮した基本書 本書は岡村忠生・酒井貴子・田中晶国各先生によるコンパクトな租税法の基本書です。コンパクトな基本書といっても本書のはしがきに「基本的であることと、理解が容易で…
1.意外にセオリーのない「決算」という業務 筆者が会計事務所(税理士事務所)に就職した当初困ったことのひとつに、「決算」及び「申告書の作成」という業務についてこれといったセオリーやマニュアルがないことがあります。 仮に簿記論や法人税法の試験…
先日とある場所で財政学者(東京大学名誉教授)の神野直彦先生の講義を受ける機会があり、そこで神野先生が最近『経済学は悲しみを分かち合うために』という書籍を上梓されたことを知りました。 神野先生といえば言わずと知れた財政学分野の権威です。私も学…
※本記事執筆後に第2版が出ました 法人税法の条文解釈と制度趣旨がわかりやすく学べる好著 所得税法の学習書として完全に定番となっているものに佐藤英明先生による『スタンダード所得税法』がありますが、法人税法については計算の説明をした「税務会計」の…
ブログをはじめて最初の記事に何を書くかは悩むところですが、書籍の紹介などもやっていきたいので、やはりこの本をまず紹介しておくことにしました。 租税法、基本書中の基本書 この本とは、租税法学の世界で最も権威ある金子宏先生(東京大学名誉教授)に…